このような症状がある方へ
- 胃痛・胃もたれ
- 胸やけ
- みぞおちの痛み
- 食欲が低下した
- 体重が減少した
- 吐血・下血・血便
- ゲップが頻繁に出る
- のどの違和感やつかえ感
早急な受診が必要な症状
- 痛みで冷や汗が出る
- 激しい痛みがある
- 発熱
- 歩くとお腹に痛みが響く
- 吐血・下血・血便
- 便秘と下痢を繰り返す
胃の不調の原因
ピロリ菌感染
ピロリ菌が胃粘膜に感染すると、胃粘膜に炎症を引き起こし、胃もたれや胸焼け、吐き気、胃痛などの症状が現れます。通常の細菌は胃酸によって死滅しますが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を持ち、アンモニアを生成して胃酸を中和するため、生存が可能です。
ピロリ菌が生成するアンモニアとサイトトキシンは、胃粘膜にダメージを与え、慢性的な炎症を引き起こします。この炎症が続くと、胃の粘膜が萎縮し、胃・十二指腸潰瘍や胃がんのリスクが高まります。胃カメラ検査でピロリ菌の感染を確認し、陽性の場合は保険診療で除菌治療を受けることができます。これにより、胃・十二指腸潰瘍や胃がんの予防が期待できます。
ストレスによる自律神経の乱れ
ストレスが原因で自律神経のバランスが崩れると、胃酸が過剰に分泌され、胃や十二指腸の粘膜にダメージを与えることがあります。自律神経の乱れは、知覚過敏の状態を引き起こし、痛みを強く感じやすくなることがあります。ストレス管理は、胃の健康を維持するために重要です。
食生活の乱れ
暴飲暴食や不規則な食事習慣は、胃腸の調子を乱す原因となります。飲酒や喫煙、カフェイン飲料の過剰摂取は、胃酸の過剰分泌を引き起こし、胃の不調を悪化させます。また、炭酸飲料や香辛料などの刺激物の摂取も、胃酸分泌を促進するため、適量を守ることが大切です。バランスの取れた食生活を心がけ、胃腸の健康を保つようにしましょう。
胃痛を引き起こす疾患
急性胃炎
急性胃炎は、ストレスによる自律神経の乱れや暴飲暴食、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の使用、アニサキス感染、ウイルスや細菌感染(ピロリ菌を含む)などが原因で発症します。症状としては、みぞおちの激しい痛み、胸焼け、胃の膨満感、吐き気・嘔吐などがあります。重症化すると吐血や下血が見られることもあります。
慢性胃炎
慢性胃炎とは、長期間にわたり胃の粘膜に炎症が起きている状態です。この炎症により胃の粘膜は薄く脆くなり、萎縮性胃炎と呼ばれる状態になります。慢性胃炎の約8割はピロリ菌感染が原因です。他にも、非ステロイド性消炎鎮痛剤(ロキソニン等)の長期使用、ストレス、過食・過飲が原因となります。
主な症状には、胃もたれ、胸焼け、胃痛、吐き気があります。症状がある場合、胃酸抑制薬や胃粘膜保護薬の服用で治療しますが、再発率が高く、完治には専門的な治療が必要です。ピロリ菌感染が原因の場合、将来的に胃がんリスクが高まるため、除菌治療が推奨されます。
萎縮性胃炎が進行すると胃がんのリスクが高まりますので、早期発見と早期治療のために定期的な胃カメラ検査が推奨されます。
アニサキス症
アニサキスはサバ、サンマ、イカなどの魚介類に寄生する寄生虫で、生食や不十分な加熱により感染します。予防には、魚介類を十分に加熱(60℃で1分以上)または冷凍(-20℃で24時間以上)することが重要です。アニサキス症は胃やみぞおちに強烈な痛み、吐き気、嘔吐を引き起こし、内視鏡で虫体を除去することで症状が改善します。
胃けいれん
胃けいれんは、胃の筋肉が痙攣し、神経が刺激されることで胃が締め付けられるような痛みを伴う症状です。正式な病名ではありませんが、胃潰瘍やアニサキス症、胆石症、胆のう炎、膵炎、急性虫垂炎などが原因で発生することがあります。
逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃酸や胃内容物が食道に逆流することで食道粘膜に炎症が生じる疾患です。症状としては、胸焼け、すっぱいものがこみ上げる、みぞおちから胸にかけてのむかつき、げっぷ、喉の痛みや違和感などが挙げられます。食後は特に症状が出やすいため、食後2~3時間は横にならないことが推奨されます。
胃・十二指腸潰瘍
胃粘膜から分泌される胃液には、食物の消化や体外からの細菌侵入防止のために強力な胃酸が含まれています。通常、胃粘膜は粘液によって保護されており、胃酸による攻撃を防ぎます。しかし、胃酸の過剰分泌や粘液の減少により、胃や十二指腸の粘膜が傷つき、浅い場合はびらん、深い場合は潰瘍となります。
これらの状態は、主にピロリ菌感染が原因ですが、痛み止めや血液をサラサラにする薬の副作用、飲酒、喫煙、ストレスなども関与することがあります。症状としては、みぞおちの痛み、胸やけ、膨満感、胸痛、腹痛、タール便、食欲低下、貧血などがあります。
機能性ディスペプシア
胃がん
胃がんは早期には症状が現れないことが多いですが、進行すると胃の痛み、違和感、食欲不振、吐き気などの症状が現れます。早期発見が重要であり、定期的な検査が推奨されます。
胃痛の検査
胃カメラ検査
胃カメラ検査は、上部消化管(食道、胃、十二指腸)の粘膜を詳細に観察し、痛みの原因となる疾患の有無を確認するための検査です。この検査により、炎症、潰瘍、がんなどの腫瘍がないかを詳しく調べることができます。疑わしい病変が見つかった場合は、その組織を採取して病理検査に提出し、確定診断を行います。検査中に出血が確認された場合は、内視鏡を使用して止血処置も可能です。また、ピロリ菌の感染が疑われる場合も、胃カメラ検査で確認することができ、陽性と判明した場合は治療を受けることができます。
血液検査
血液検査は、胃やみぞおちの痛みの原因を特定するために重要な役割を果たします。血液検査の結果から以下の情報が得られます。
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腹部に炎症があるかどうか
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細菌感染が起こっているかどうか
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膵臓に炎症があるかどうか
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胆のうや胆管にトラブルがあるかどうか
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貧血の進行状況
また、血便や下血が認められた場合、それが上部消化管(食道、胃、十二指腸)から出血しているのか、下部消化管から出血しているのかを判断する手助けにもなります。これらの情報をもとに、追加の検査が必要かどうか、どの検査を受けるべきかを判断することができます。