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逆流性食道炎

逆流性食道炎とは

逆流性食道炎は、胃の内容物が食道に逆流することによって食道粘膜に炎症を引き起こす疾患です。通常、胃の粘膜は強酸性の胃液に対する防御機能を持っていますが、食道にはそのような機能がないため、逆流が発生すると炎症が起こります。

日本では、逆流性食道炎は加齢が主な原因とされてきましたが、近年では欧米の食文化の影響や肥満の増加により、幅広い年代で発症例が増加しています。

逆流性食道炎の症状

  • すっぱいものや苦いものが上がってくる
  • 胸やけ
  • 声枯れが続いている
  • 横になると胃液が上がってくる
  • 胸痛
  • のどの違和感 など

逆流性食道炎の原因

逆流性食道炎の主な原因には以下の要素があります。

下部食道括約筋の衰え

加齢により食道と胃の間の筋肉が弱くなり、逆流を防ぐ機能が低下します。

腹部の圧力

腹部を締め付ける衣服や悪い姿勢、肥満などにより胃が圧迫され、逆流しやすくなります。

食事内容

油分の多い食事やタンパク質の過剰摂取など、消化に時間がかかる食事は胃酸の分泌を促し、逆流を引き起こしやすくなります。

蠕動運動の低下

食物を先に送るための腸の蠕動運動が低下すると、胃の内容物が逆流しやすくなります。

これらの原因により、食道粘膜が知覚過敏になり、逆流性食道炎の症状が悪化します。

逆流性食道炎の検査

逆流性食道炎は、胸やけなどの典型的な自覚症状がある場合もありますが、自覚症状がないケースも少なくありません。また、食道がんや胃がんなどの重篤な疾患でも同様の症状が現れることがあるため、これらの疾患を除外することも重要です。
胃カメラ検査は、多くの食道・胃疾患の確定診断に有用であり、逆流性食道炎の炎症の程度や範囲を正確に把握することができます。これにより、適切な治療方針を立てることができます。逆流性食道炎は再発を繰り返しやすく、長期間の炎症が続くとがんのリスクが高まることが指摘されています。胃や食道に違和感がある場合や、胸やけなどの症状を繰り返す場合には、胃カメラ検査を受けることをおすすめします。

胃カメラ検査はこちら

逆流性食道炎の治療

薬物療法によって短期間で症状が緩和するものの、完治と再発防止を目指すのであれば医師の指示に従って薬を継続的に飲む必要があります。

生活指導

生活習慣の見直しは、逆流性食道炎の治療と予防において重要です。以下の点に注意することが推奨されます。

  • 食後2〜3時間は横にならないようにする
  • 猫背や腹部を締め付ける服装を避ける
  • 肥満防止のために、適度な運動を取り入れる
  • アルコールや炭酸飲料、糖質などの摂取を控える

薬物療法

逆流性食道炎の症状は、胃酸分泌抑制薬を使用することで比較的短期間で改善されます。
主に使用される薬はプロトンポンプ阻害薬(PPI)であり、これにより胃酸の分泌が抑制され、症状が軽減されます。症状が消えても、炎症が完全に治癒するまで薬を服用し続けることが再発防止に役立ちます。

適切な薬物療法によって、多くの場合、手術を必要とせずに治療が可能です。