切れ痔とは
切れ痔または裂肛とは、硬い便や持続する下痢により肛門の皮膚が切れる状態を指します。この状態は、排便時の痛みや出血を引き起こすことが多く、生活の質に大きな影響を与えます。
原因
便秘や下痢
持続的な便秘や下痢が肛門に負担をかけ、皮膚が切れる原因となります。
強い踏ん張り
排便時に強く踏ん張ることで肛門の皮膚が損傷することがあります。
辛い食べ物
辛い食べ物の摂取が肛門に刺激を与え、裂肛のリスクを高めます。
症状
裂肛は急性と慢性に分類され、それぞれ以下の特徴があります。
急性裂肛
排便後すぐに肛門痛や出血が見られます。肛門の血流が多いため、便器が真っ赤になるほどの出血が起こることがあります。
慢性裂肛
急性裂肛を繰り返すことで慢性化し、裂肛部位が潰瘍化し、肛門ポリープやスキンタグ(見張りいぼ)が形成されます。肛門狭窄が進行すると、排便時の痛みが毎回強くなり、その痛みも長時間続くようになります。
治療法
裂肛の治療法は、急性と慢性の状態に応じて異なります。
急性裂肛
急性裂肛は通常薬物治療で対処できます。便秘や下痢はどちらも裂肛の原因となりますので、便通の管理が重要です。緩下剤で便を柔らかくし、整腸剤で下痢を改善し、軟膏を用いて傷を治療します。これにより、出血や肛門痛の症状が比較的短期間で改善されます。
ただし、症状が改善しても薬をすぐにやめると再発しやすくなります。傷はまだ完全に治癒しておらず、症状が消える時期と治癒する時期が異なるためです。症状が改善してからもしばらく(約2週間)薬を継続することで、傷が完全に治癒し、再発が少なくなります。
薬の治療を中途半端に繰り返したり、無治療で放置すると、慢性裂肛に進行することがありますので注意が必要です。
慢性裂肛
慢性裂肛は、裂肛部位が硬くなったり肛門が狭くなったりします。ポリープやスキンタグが形成されることで、さらに切れる原因となるため、手術治療が必要になることがあります。
手術法
慢性裂肛に対する手術法には以下の方法があります。
手術が必要な場合は適切な医療機関への紹介を行います。
皮膚弁移植術(SSG)
皮膚弁移植術(SSG)は、肛門狭窄を伴う慢性裂肛の治療法です。この手術では、硬化した裂肛部位や肛門ポリープ、スキンタグを切除し、肛門の外側から皮膚を移動させて狭くなった肛門を広げます。
裂肛切除術
裂肛切除術は、裂肛部位や肛門ポリープ、スキンタグを切除し、創縁を縫合する手術です。必要に応じて、肛門括約筋を一部切開して適切に肛門を拡張させることがあります。
側方内括約筋切開術
側方内括約筋切開術は、内肛門括約筋を一部切開することで肛門を拡張させる手術です。これにより、排便時の痛みを軽減し、肛門の狭窄を改善します。