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急性胃炎

 

急性胃炎とは

急性胃炎は、短期間で発症する胃の炎症を指します。これは、胃粘膜が赤く腫れたり、ただれたりする状態です。胃は食べ物を一時的に保持し、消化と殺菌を行う役割を担っています。この過程で重要なのが「胃液」です。胃液は強い酸性を持ち、胃酸と消化酵素であるペプシンを含んでいます。これにより、食べ物を溶かし消化する働きを持っています。

胃液の強酸性は、胃壁自体も溶かしてしまう力がありますが、胃の内側は粘液で覆われており、この粘液が胃粘膜を保護しています。通常、胃液と粘液のバランスが保たれているため、胃粘膜が胃酸によって損傷を受けることはありません。しかし、このバランスが崩れると、胃粘膜が胃液により傷つけられ、炎症を引き起こすことになります。

急性胃炎の症状

急性胃炎の主な症状には、みぞおちの痛み、むかむか感、胃のもたれ、膨満感、吐き気や嘔吐などがあります。これらの症状は突然現れることが多く、軽度の場合は2〜3日で改善することもありますが、重症化すると長期間続くこともあります。

状態が悪化すると、胃粘膜や十二指腸の粘膜がただれて「びらん」になります。さらに深い部位に達すると「潰瘍」が形成され、最悪の場合、胃の壁に孔が開く「穿孔」になることもあります。なお、長期間にわたる炎症は「慢性胃炎」と呼ばれます。

 

急性胃炎の原因

項目 説明

ストレス

精神的ストレスや身体的ストレスは、どちらも胃炎の原因となります。

刺激の強い飲食物

香辛料、高濃度アルコール、極端に熱いまたは冷たい食べ物、塩辛いもの、硬いもの、カフェインを含む飲食物などは胃粘膜を刺激します。

暴飲暴食

過食や飲み過ぎ、不規則な食事時間も胃に負担をかけます。

薬剤の副作用

解熱鎮痛剤などの薬剤が胃粘膜に悪影響を及ぼすことがあります。

細菌感染や食中毒

細菌やウイルスの感染も胃炎の原因となります。

食物アレルギー

特定の食物に対するアレルギー反応が胃粘膜に影響を与えます。

その他の病気

腎不全や肝硬変などの全身性疾患も関与することがあります。

寄生虫

食べ物と一緒に摂取されることで寄生虫が胃の中に入ることがあります。例えば、魚介類に寄生するアニサキスは、胃粘膜を通って胃壁に侵入することが知られています。

空腹時に高濃度のアルコールを摂取したり、水を使わずに薬を飲んだりすることも、胃粘膜を刺激しやすく、炎症を引き起こす要因となります。また、喫煙も胃の血流を減少させ、胃酸の分泌を促進するため、胃に対する攻撃因子となります。

 

急性胃炎の検査

急性胃炎の確定診断には、上部消化管内視鏡(胃カメラ)が重要な役割を果たします。この検査では、口や鼻から細い管を挿入し、食道、胃、十二指腸の内部を直接観察します。カメラが先端についた内視鏡を使用して、モニターに映し出される内部の映像を見ながら、びらんや出血、潰瘍などの胃粘膜の状態を詳細に評価します。

 

急性胃炎の治療方法

急性胃炎の治療の基本は、胃を安静に保ち、負担をかけないことです。具体的には、以下の方法が推奨されます。

食事制限

消化の良い食べ物を選び、よく噛んでゆっくり食べることが重要です。おすすめの食材には、お粥、うどん、スープ、白身魚、卵などがあります。必要に応じて、1〜2食程度の絶食を行うこともあります。また、コーヒーやアルコール、カレーなどの刺激の強い飲食物や喫煙は避けましょう。

薬物療法

症状を和らげるために、胃酸の分泌を抑える薬が処方されます。吐き気や嘔吐が強い場合は、水分摂取が困難になることがあるため、点滴を行うこともあります。

特殊なケース

急性胃炎の原因がアニサキスである場合、内視鏡検査を実施して胃壁に入り込んだアニサキスを除去します。

原因の除去と生活習慣の改善

治療で最も重要なのは、原因となる要素を取り除くことです。規則正しい生活を送り、刺激物の摂取や過労、ストレスを避けることが治療と予防の両方に効果的です。特にストレス管理は、胃を守るために欠かせません。精神的、肉体的なストレスがかかると、胃壁が傷みやすくなり、血流が悪化することで胃の保護機能が低下します。

十分な睡眠をとり、精神を安静に保つことが重要です。また、趣味やスポーツなどで気分転換を図り、早めにストレスを解消するよう心がけましょう。